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Q1.バナンス委員会を創設して1年が経ちました。初年度の活動を振り返って、感想をお聞かせください。羽多野初年度(2021年8月~2022年6月)は全9回の委員会を開催しました。経営の透明性向上や取締役会の監督機能の強化など、改訂コーポレートガバナンス・コードに対応した議論が中心になり、特に「支配株主と少数株主との利益相反取引」と「取締役会の実効性評価」の審議に多くの時間を費やしました。そのため、当初計画の一部を次年度に繰り越すことになりましたが、初年度としては概ね計画的に、かつ実効性のある形で、運営・実施することができたと思っています。委員会は、4名のうち独立社外取締役が3名の構成で、外部の客観的・専門的な視点も入れて、活発な議論を行いました。齋藤社長には執行側のご意見をいただきながら、非常に実効的な議論ができたと考えています。なお、今年度から貝出取締役、荒木監査役が委員に加わり5名体制となります。さらに充実した体制で、今年度の重要課題であるコーポレートガバナンス・ガイドラインや、事業ポートフォリオをはじめとした中長期視点の議論を拡充していく計画です。高坂私も昨年から参加させていただいていますが、当社は、「コーポレートガバナンス・コードの要請の下」という受け身の形ではなく、ビジョンや戦略について議論する会議体として活用し、企業価値の向上に繋げようという意欲的な発想で、ガバナンス委員会を設置しました。員数が少ないので、議論の充実に重点を置くことができていますし、皆さんが忌憚ない意見を積極的に述べられています。意見が割れることもありますが、議論を深めつつ対応策を考えていくことができていますので、バランス良く機能していると思います。Q2.利益相反取引」に関する議論の内容と、成果について教えてください。高坂「支配株主と少数株主との利益相反取引」に関して審議をすることは、改訂コーポレートガバナンス・コードの要請であり、ガバナンス委員会の設置目的の一つでしたので、多くの時間を割いて徹底的に議論しました。結果、親会社グループである伊藤忠グループとの膨大な契約・取引実績を洗い出し、傾向を把握した上で、審議のための新しいルールを作ることができました。新規取引の審議プロセスや審議項目の策定にあたっては、多面的な視点での議論を経て、少数株主をはじめとするあらゆるステークホルダーの皆様に対して「公正かつ健全な取引である」ことを説明できる審議基準を設けられたと評価しています。取引データの精査にあたっては事務局の皆さんに多大な協力をいただきました。ボードメンバーとコーポレート部門が一体となって実現できたことにも、大きな手応えを感じています。羽多野本当にそうですね。膨大な作業を完遂してくれた事務局の皆さんには、感謝しています。継続的に運用できる基準を作るため、伊藤忠グループとの取引全件を取引区分ごとに整理し、審議対象を絞るためのルールを設けるところからスタートしました。具体的には、審議対象ごとの取引における伊藤忠グループのシェア増加率や取引金額の最低ラインなどです。また、他社との見積比較を行うなど、かなり具体的な検証を通じて取引価格の妥当性を確認することもできました。一方で、海外からの原材料の調達にあたっては伊藤忠グループから情報の提供を受け、一部業務のオペレーションを委託するなど、当社グループの安定した事業運営のために有益なサポートを受けていることもPICKUP|支配株主と少数株主との利益相反取引コーポレートガバナンス・コードは、議決権のある株式の過半数を保有する株主(支配株主)を有する上場会社に対して、透明性の高いガバナンス体制を確保し、少数株主の利益を保護することを求めています。補充原則4-8③】では、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会を設置すべき」と謳われており、独立役員の機能発揮に大きな期待が寄せられています。56