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高坂そうですね。課題の一つとして、中長期的視点の議論拡充の必要性が浮き彫りになりました。持続的成長に向けた経営課題を取締役会で議論するのはもちろんのことですが、ビジネスモデルや事業ポートフォリオを客観的・俯瞰的・長期的な視点で見つめ直し、さらに突っ込んだ具体的な論点を提議していく必要があると考えています。今後は、その役割をガバナンス委員会で担っていこうという方針を、皆さんと確認することができました。その皮切りとして、ガバナンス委員会で「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を策定することが決まりました。改訂コーポレートガバナンス・コードは、一つひとつの検討事項が非常に奥深いので、これを当社の現状に照らして定義し直すことは非常に有意義だと考えています。羽多野中長期視点の議論の必要性は、高坂さんのおっしゃるとおりです。事業環境は激変しており、脱炭素や廃プラスチック問題等、当社経営に大きな影響を及ぼす課題が山積しています。こうした課題に対処しながら、どのように事業ポートフォリオの最適化・高度化を進めていくのか、中長期的な企業価値の向上を図っていくのか、幅広い観点からの議論が必要であると考えています。また、子会社を含めた当社グループ全体の持続的成長を実現していくためには、攻めの経営施策「既存事業の高付加価値化や新たなビジネスの創造等」を加速していく必要があると思います。グループ経営の再整備については、経営統合以降、不採算事業の整理やグループ会社の再編・統合を進めてきました。引き続き機動的にグループ会社の再編・統合を行うなど、経営効率の向上、新しい価値創造に向けたビジョンを描き、実行に移していくことが肝要であると思います。貝出先日、中計・マテリアリティ管理委員会の報告書を見せてもらったところ、2021年度の不採算事業の数が、2023年度目標のゼロに対して少し開きがあることが分かりました。特に日本では、事業撤退はすんなりと進まず時間がかかるものですが、それぞれの経営状態をどのように評価し、どのように改善していこうとしているのか、もしくはどうなったら撤退するのか、モニタリングのプロセスについてよく確認していきたいと思います。加えて、オーガニックグロースを上回る成長を実現するためには、他社との連携やM&Aも視野に入れていくでしょう。伊藤忠グループとのM&Aが発生した場合のリスク精査にあたっては、ガバナンス委員会もしっかりと機能するよう準備をしていきますので、執行側にも積極的な提案を期待しますし、逆にこちらからそういう働きかけをしていってもよいのではと思います。荒木2年間、タキロンシーアイの経営に関与してみて、グループ経営の基盤はしっかりと整備されているなというのが私の率直な感想です。連結での予算管理の手法が確立しており、権限規程は関係会社・子会社を含めて適切に設定されていますので。皆さんが「グループ経営の再整備」を課題に挙げておられるのは、将来の収益ポートフォリオを見据えて、次の芽をどうやって育てていくか」ということでしょうし、私も、そこの議論の解像度を高めていくべきと思います。現在の収益基盤の確保を前提に、将来の成長性を踏まえてどのくらいのリスク、投資を許容していくのか。私自身、M&Aや企業再生に携わる財務アドバイザリーとしてPMI支援を含め積み上げてきた経験・知見を活かしながら、皆さんと議論を深めていきたいと思います。PICKUP|取締役会の実効性評価取締役会の機能を向上させることを目的に、毎年、取締役会の実効性について分析・評価を行っています。2021年度より評価プロセスおよび評価結果についてガバナンス委員会で審議することとし、ガバナンス上の優先課題への取り組みを推進する体制を強化しています。58