>> P.60
Q4.中長期的な成長に向けた「人的資本の強化」について、考えをお聞かせください。高坂これからより力を入れて取り組むべきテーマだと認識しています。当社は、充実人生経営宣言」を全社員で実践することを掲げていますが、現状の「社員ワークエンゲージメントスコア」「社員ロイヤルティスコア」が目標値に至っておらず、この原因をきちんと分析していくことが、人的資本の強化には欠かせません。これは数字だけの話ではなく、女性活躍推進や将来の優秀な人材の確保に直結する課題であり、当然、持続的成長を左右する最も重要なファクターです。人材の所管部門でも多面観察の実施など様々な手立てを講じていただいているので、その結果を注視していきたいと思っています。荒木私もサステナビリティの確保にあたって、人材基盤の拡充は避けて通れない課題と受け止めています。そのためには、女性にもっと参画してもらえるような取り組みが必要であることは、議論の余地がないだろうと思います。以前、残暑厳しい時期に岡山工場を視察する機会がありましたが、フィルム製造設備が並びもうもうと熱気が立ち込める中、想像以上に多くの女性従業員が現場で活躍している姿を拝見しました。女性管理職比率などの定量指標の目標達成も大切なことですが、製造現場で女性の能力発揮を支援する取り組みも大事なのではないかと感じています。さらには、女性に限らず男性も、またあらゆる職位の方がロイヤルティを持って活動できる職場を作るにはどうしたらいいかという観点から考えていければいいですね。高坂私も荒木さんのお考えに賛成です。女性活躍の取り組みの所管部門の方とお話をさせていただく中で、「こんなに頑張っているのに、女性はなぜもっと『活躍せよ』と言われるのだろう?」管理職になることだけが『活躍』ではない」といった声を耳にすることがあります。確かに最も大切なことは、女性・男性関わらず、各々の社員が幸せで充実した働き方ができることだと感じます。一方で、経営判断に多様な観点・感性を反映していくために、女性が経営に参画する機会を積極的に増やすことも、有意義な施策であると思っています。貝出私はかつて、石油精製系の欧米メーカーと業務上の接点があったのですが、女性や白人以外の人々が積極的に登用されつつある状況を目の当たりにしました。グローバルビジネスを統括する事業部門長クラスに抜擢される女性も散見され、彼女たちは有能で如才なく時に手強い交渉相手でした。旧知の白人男性社員に本音を尋ねると、マイノリティ偏重にも見える人事に不満もあったようです。ただ、そういう会社でも当時のボードメンバーはほぼ男性だったんですよね。経営と執行が分離している欧米企業では、執行サイドからダイバーシティを推進していったのでしょう。翻って日本の女性活躍・登用は、データで見ると世界の後進国です。これを大いに反省して、真剣に、戦略的に取り組んでいく必要があり、当社も採用・育成をしっかり行いながら、過渡期には思い切った登用も必要かと思います。PICKUP|社外役員の現場視察タキロンシーアイグループは、グループ会社を含め国内に20を超える事業所・製造拠点を有しています。社外役員には、現場視察を通じて「生」の情報に触れ、経営判断の材料としていただく機会を積極的に提供しています。工場見学や社員との懇談を通じて、各拠点・関係会社の状況がよくわかると、社外役員からも好評をいただいています。59タキロンシーアイグループ統合報告書2022